第9章 ソフト・テクノロジーとハード・テクノロジー
rashita.iconこの章には何が書かれているか?
人間の得意なこととコンピュータの得意なこと
フリースローの場合
人間は正確なシュートを繰り返すのは難しいが、「バスケットを見る」は簡単
コンピュータはその逆
人間が得意なのは、人間にとって自然なこと。不得意なのは自然でないこと
人間が苦労することを失敗せずにやり遂げられる機械は作れる
すると、人間+機械で互いに能力を保管しあうよい状態が生まれるという好ましい状態なはず
実際はどうか?
そうはなっていないのではないか?
人間の得意なことの例
言語と芸術
音楽と詩
創造
発明
仕事での臨機応変さ
変化する環境への適応
新しい道具の創出
そもそも問題を見いだすこと
見ること
動くこと
聞く
触る
嗅ぐ
感じること
生活を楽しみ、世界を理解する。
味、香り、体感、身体の動きなどを楽しめるようにしていく
美を味わう
喜びや愛、希望や興奮を感じる
面白がったり、不思議がったりする
上記は、機械が不得意なことであり、テクノロジーから見た人間の姿ではない
機械中心的な見方をすると、人間の強みより弱みに関心が寄せられる
たとえば
不正確
ずさん
注意散漫
感情的
非論理的
これは機械と比較した基準になっている
我々の知性はアーティファクトに負うところが多い
しかしそうしたテクノロジーは人間が作りだした
発明し、組み立て、応用した
にもかかわらず、機械の要求の方が、人間の要求よりも優先される傾向がある
rashita.iconおそらく、我々の知性がアーティファクトに負うところが多い、というのがポイントなのだろう。
必要とされる知性の量が増大するほど、テクノロジーに負う割合が増え、そちらの方が優位になってしまう、という傾向があるのではないか。
自動化のテクノロジーが適用されるシチュエーション
自動化できるものが自動化される
人間に適したもの、機械に適したもの、という切り分けは行われない
また正常な状態では自動化はうまく動くが、そうではなくなったときに人間が呼び出される
しかし、それ以前の現場の情報がないままに現場に放り出されて対処しなければいけないのは人間には難しい
現場にいれば得られたはずの情報が、自動化によって得られなくなってしまう
人間中心のデザインの原則
目に見える表層表現を、人間がなじんでいる名前、文章、図、意味のある音、知覚的にわかる表現などの形態に合わせること
そうせずに、ただ数字を見せるのは設計者的には楽かもしれないが、成功はしない
p.389
確かに、機械には内部で数値を使わせてもよいが、操作する人間には、タスクとそのニーズに一番適切な形態で情報を見せるのが良いのだ。
オートメイトするシステム
自動化
人間から見て自律的に働く
インフォメイトするシステム
情報化
豊かな情報へのアクセスを提供する
内省的認知のアーティファクト
人間と協働的に働く
rashita.icon人間が働かなくてもいいことを求めると、自律的な機械を求めるのではないか?
論理について
人間の心は厳密な計算装置ではない
知的な装置の機能についてはたしかに理解が進んだが、それは人間の思考モデルと同じではない
思考を助ける論理が必要だったのは、それが人間の思考過程と違っているから
論理は人間の認知のモデルにはふさわしくない
論理の強みは、内容や文脈に無関係なこと
一方で、
内容を考慮することは、問題を具体的なことばに置き換える、つまりリアルな行為とリアルなやり取りからなる既存の世界に問題をマッピングすることを意味する。p.393
論理と物語
人の思考において異なる役割を持つ
論理
重大な量的側面だけを抽象化する
先入観や主観によらない解決手段たりうる
同じ結果になるという信頼性がある
反面融通が効かない
ハードなもの
物語
固有の局面に対応し、人間的な側面における重要な細部を強調できる
質的側面、感情
ソフトなもの
人間の言語と論理の言語
二つは異なる
人間の言語では、能動的な解釈が行われ、意味だけでなく意図も把握しようとされる
日常の言語は柔軟性があるが、論理の言語は厳密な分硬さがある
最少努力の法則(ジョージ・キングスレイジップ)
言語は人間中心のシステム
使い勝手と正確さのバランスが取られる
ソフトなテクノロジーとハードなテクノロジー
ハードなテクノロジー
テクノロジー優先で、人間に対して固定的(オートメイト)
ソフトなテクノロジー
インフォメイト。人間の主権と柔軟性を尊重する
大切なのは、システムを使う人のニーズから始める
日刊新聞は優れたテクノロジーで、それはテクノロジーが選択権を持っていないがゆえに主要な仕事がユーザーに任されているから
Un-doという思想
人間中心のテクノロジー・デザイン
ラピッド
マイケル・ウィリアムズとフレデリック・トウによる
意思決定に必要な情報を提供するシステム
たとえば、ユーザーはまず「レストランに行きたい」とだけ言う。
クリエとしては中途半端だが、システムは何か適当なレストランとその性質を示す
ユーザーはそれを見て「もっと近くのお店」とか「クレジットカードが使えるお店」のように、自分が求める性質を訂正する
システムはそれに合わせて適切な候補を再度表示する
それを繰り返せば、望ましい決定に至れる
最初から唯一の正解を提示するのではなく、ユーザーとシステムのやり取りの過程の中で、機能する答えに近づいていくというアプローチ
最初にシステムがレストランの情報を提示したことでユーザーは、「そうか、こういう条件で絞り込めばよいのか」と教育される形になっている
これがあれば、ユーザーはそのシステムがどんな性質をデータとして持っているのかをあらかじめ知っておく必要がなくなる
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